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自筆証書遺言の「紙」と「ペン」について
気軽に書けるとはいうけれど…
前述のとおり、自筆証書遺言の方式であれば、「紙」と「ペン」があれば、いつでもどこでも、商人の立会いも不要であり、気軽に遺言を残すことができます(※「印」は拇印でも認められた裁判例がありますが、できれば「実印」で捺印することを推奨します)。
この「紙」と「ペン」について、よくご質問を頂きますので、以下に補足致します。
自署ができる「紙」であれば、特に制限なし
たとえば、公証役場で専用の用紙を買わないといけないとか、A4サイズでなければならないなどの制約はございません。極端な例を言えば、市販されているノートを破った紙でも良いですし、コピー用紙やメモ用紙、手帳、もっと言えば広告チラシの裏であっても、法律的には無効事由にはなりません(有効か無効かをめぐって争いにはなりやすいですが…)。
但し、ある程度の「保存期間」が生じるわけですから、あまりにも耐久性のない紙は避けるとよいでしょう。また、廃棄されてしまえばそれで効力はなくなってしまうわけですから、廃棄されやすい紙は避けるべきです。法律的な有効無効のお話と、実際に望ましいかどうかは異なります。
「ペン」についても特に制限なし
自署で使用する筆記具についても、法律上の規定は特にございません。ボールペンでも、マジックペン(サインペン)でも、墨汁を使用しても、万年筆であっても、構いません。色についても、特に制限はないため、必ずしも黒色である必要はございません。
但し、「変造(へんぞう)」(=本人以外の者が、遺言に記載されている数字を付け加えたり、内容そのものを書き換えられたり、遺言内容になんらかの変化を加えさせられること)を防ぐという趣旨からすれば、消しゴムで消すことのできる「鉛筆(シャープペンシルを含む)」や「消せるボールペン」は避けるようにしましょう。
また、「後から付け加えたのではないか?」と判断される可能性があるため、書き始めから、下記終わりまでは、同じペン、同じ色を使うようにしましょう。
なお、『自署』(じしょ)が必要ですから、タイプライターやワープロ、「Word」「Excel」「PowerPoint」などのパソコンソフトでの作成は無効となります。
※←本件は相続法改正により一部ワープロ等の使用が認められるようになりました。相続法改正については、以下のブログ記事をご確認ください。→相続法改正について
最近では「遺言書キット」なる商品も登場
2010年頃からの「終活ブーム」も影響し、「遺言書キット」なるものが大手文具メーカーから発売されています。実際に、これらの「遺言書キット」で作成された自筆証書遺言については、まだこの目で見たことはございませんが、こういった商品を購入するのもよいでしょう。
遺言書の書き方等の説明もついていて、わかりやすくまとまっております。
但し、専門家として推奨するのは、あくまで「公正証書遺言」となります。きちんとした遺言書を残したいと考えるのであれば、やはり公正証書遺言の作成をご検討ください。
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