■HOME>■基本知識集(相続・遺言・後見)>「遺言」の基本知識>遺言能力について
遺言能力(遺言が有効に作成できる人)について
遺言能力(ゆいごんのうりょく)について
これまで「遺言」について基本的な概要を説明してきましたが、この「遺言」は誰もが作成できるわけではありません。具体的には、次の方は作成することができません(遺言の内容をしっかりと理解して、遺言を適法に作成することができることを「遺言能力」といいます)。
満15歳に達しない者(民法第961条)
…未成年者であっても、満15歳に達していれば、遺言を作成することができます。その方式も問いません。なお、上限はありませんので、判断能力さえしっかりしていれば、120歳でも作成することが可能です。
意思判断能力が著しく低下している者
これは当然と言えば当然なのですが、内容を理解できる程度の意思(判断)能力がなければ、作成することができません。無理に(形式的に)作成できたとしても、後に相続人から無効であると主張される可能性がとても高いです。遺言は「意思表示」であり、それによって法律的な影響を及ぼす行為ですから、物事を理解して、その意思を間違いなく表示するだけの能力ががないといけないわけです。
判断能力に疑わしいときに作成した遺言は、最も揉めるケース!
日本では、認知症患者及び認知症予備軍と言われる方が500万人とも、1000万人とも言われています。「その時になったら」と遺言の作成を後回しにしていると、遺言を作るだけの理解力、判断力が著しく衰えてしまっていた…ということが多々あります。無理に作らせようとすれば、ほとんどのケースで相続争いに発展することになるでしょう。専門家として判断能力が疑わしい段階での遺言作成は、行政書士法人エベレストでは絶対におすすめできません。遺言書は、お元気なうちだからこそ、書いておくべきものなのです。
なお、(2)と誤解してはならないのが、成年後見制度との関係です。仮に後見開始審判等を受けていて、成年被後見人又は被保佐人又は被補助人であったとしても、そのことをもって直ちに遺言が作れないわけではありません。特に、成年被後見人が、ものごとを判断する能力が一時的に回復した時において、遺言を作成する場合、医師が2人以上の立ち会いがあれば作成できることは民法に明記されています(民法第973条)。
よく誤解される点(平成12年改正)
話せない(口がきけない)人、耳が聞こえない人であっても、満15歳以上で意思能力がしっかりしていれば、遺言は作成できます。
具体的な方法は、公正証書遺言の方式により、「手話通訳」や「筆談」「閲覧」を利用します。平成12年(2000年)4月までは、「口授」や「読み聞かせ」が厳格になっていたため、不可能だったのですが、この時の改正で緩和され、これらの方についても遺言の作成が可能となりました。もちろん行政書士法人エベレストでも対応可能です。
なお、「字が書けない人」については、法改正以前から、公正証書遺言による方法で遺言作成が可能です(自筆証書遺言は、自筆が要件なので、作成できません)。
【関連記事】
・どの種類で遺言書を作成する?~遺言書の種類(方式)の解説~
・比較表でバッチリ!「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違いまとめ
・鉛筆書きは要注意!Wordもダメ!~自筆証書遺言の紙とペンについて~
・責任重大!遺言執行者の権利義務とは?就任したらまず何をする?
・遺言執行者の指定がない場合は?選任審判の申立て方法は?いつだれがする?
・未成年者、認知症患者、字が書けない人…遺言作成できる?作成できない?
・専門家が教える!「遺言書」を作成する際に気を付けるべき5つのポイント
・遺言書の作成で最も大切なこと ~ 「付言」なくして「遺言」なし ~
■HOME>■基本知識集(相続・遺言・後見)>「遺言」の基本知識>遺言能力について