HOME>主な取扱業務>④経営管理ビザ相談センター>【経営管理ビザ⑨】飲食店営業の場合の注意点
【経営管理ビザ⑨】飲食店営業の場合の注意点5つ
記事作成日:2024年5月7日
最終更新日:2024年5月7日
文責(執筆):行政書士 野村 篤司
1.「飲食店営業」で在留資格「経営・管理」の取得を目指す際の注意点とは
ネパール料理店や中華料理店など、外国籍の方が飲食店を経営し、在留資格「経営・管理」を取得するケースは年々増加傾向にあるようです。飲食店は、厨房機器の購入・リースや人件費などの初期費用が高く、在留資格「経営・管理」の取得が出来ず、「オープンできない」などのミスがあってはならないため、我々申請取次行政書士としても細心の注意を払う事例となります。本記事では、「飲食店営業」に特化して、注意すべき点をいくつかまとめました。飲食店営業により、在留資格「経営・管理」を目指す方の参考になれば幸いです。
注意点その1.「個人事業主」として申請する場合は、「支出額」に注意
株式会社や持分会社(合同会社等)を設立して、申請する場合は、「資本金」の額が500万円以上となっていれば特に問題は生じませんが、「個人事業主」として申請する場合は、資本金や出資という概念がないため、やや注意が必要です。開店までに要した開業費用だけで500万円以上となっていれば特に問題ありませんが、足らない場合は、日本人や永住者等の従業員を1名雇用すると良いでしょう。なお、日本人であっても、多額の初期コストをかける必要は全くありません。
飲食店営業は「立地」に特に注意しなくてはなりませんが、運よく「居抜き物件」で見つかれば、改装に係る費用を大きく抑えることも可能です。また、厨房機器等は、一括で新品を購入すると大変であるため、「中古機器」で揃えるのもお勧めです。いずれにせよ、「個人事業主」としてスタートする場合には、申請時点における支出額に注意しましょう。
注意点その2.可能な限り「従業員(オープニングスタッフ)」を「1人以上」用意する
飲食店営業において必要不可欠な「レジ打ち」「調理」「配膳下膳」「食器洗い」「オーダー受付」などは、「現業的活動」として、従たる活動である限り、経営者本人が従事することも認められています。しかし、これらは本来的な「経営業務」ではないため、あくまで付随的であり、臨時的・一時的な場合でなくてはなりません。
またある程度の売り上げを稼ごうと思うと、顧客回転率を高めなくてはならず、1人で飲食店を回すのは極めて困難です。
原則として1名以上の「オープニングスタッフ」を雇い入れるようにしてから、申請をするようにしましょう。
なお、スタッフが過剰な時は、収支計画上逆効果(赤字に陥りやすくなる)になるため、客席数やシフトの組み方にも依りますが、まずは多くても頭数3名程度かなと存じます。人数が多ければ大きいほど、必要とされる売上高は大きくなりますので、申請難易度は上がっていきます。この辺りは、ある程度飲食店経営に係る知識や経験が要求されますので、注意しましょう。
注意点その3.物件を借りる際は、「飲食店」としての開業が可能かを必ず確認する
自社物件でスタートするケースは非常に稀であるため、ほとんどの方が「賃貸物件」を借りてスタートすることとなります。過去に飲食店が入っていたことのある物件であればよほど問題ないかと存じますが、中には「飲食営業はNG」とされている物件も少なくありません。これは主に「消防法」の観点で、1区画だけに飲食店営業を入れただけで、テナントビル全体にスプリンクラーの設置などの改修工事が必要になってしまうようなケースがあるためのようです(詳しくは消防署へご確認ください)。開店予定の賃貸物件が、きちんと飲食店営業ができるかどうかは、賃貸契約の仲介を行っている不動産会社によく確認するようにしましょう。
注意点その4.「飲食店営業許可」を早めに申請する(申請が受理されて入れば在留資格申請は可)
事業内容は「適法」でなくてはならないため、飲食店経営の場合は、保健所での許可取得が必要となります。許可申請をしてから、構造上の現地確認調査などがあり、飲食店営業許可証が発効されるまでにある程度の期間が必要となります。在留資格申請を急ぐために、ひとまず飲食店営業許可の申請と同時並行で進めることがよくありますが、営業許可が出ない限り、在留資格も許可されないため、許認可の準備や申請は出来るだけ急ぐようにすると良いでしょう。具体的な飲食店営業許可申請の鉄月に付いては、管轄の「保健所」へご相談いただくか、当方のような「行政書士」にご相談くださいませ。
注意点その5.「事業計画」をしっかりと立てる(※赤字に陥りやすい業態であるため)
「飲食店営業」は、様々なビジネスの中でも、最も親しみやすく、開業のハードルも低いため、いつの時代も人気のある事業の1つです。余談ですが、筆者も、高校2年生から大学卒業まで6年ぐらいお蕎麦屋さんでアルバイトした経験があるので、いつかはこだわりのお蕎麦屋さんを開店したいなと考えています。しかし、飲食店営業はとても難しい業態で、数年以内の「廃業」が多いのも事実です。新規でスタートするためには事業計画書の作成が必要不可欠ですが、どういったメニューを提供するのか、どういった客層を、1営業日に何名来店させるのか、1つのメニューの中で原価はどれくらいなのかなど、しっかりと利益が出せて、誰もが納得できるような計画を立てるように力を入れましょう。
なお、出入国在留管理局も在留審査担当者も「経営の専門家」ではないため、事業計画が多少甘くとも、合理的な説明さえ出来ていれば許可されることがほとんどです。とはいえ、最初の在留期間は「1年」とされることがほとんどですので、「在留期間更新許可申請」の段階で経営状況が重要となります。売上高総利益が計上されているのであれば、「債務超過」に陥らない限りは、基本的に更新は許可されますが、在留資格を得たとしても、損失が大きければ本末転倒です。きちんとした利益が毎年計上できるように、事業計画の策定段階から入念に準備しましょう。
在留資格「経営・管理」に関するご相談は、行政書士法人エベレスト!
在留資格「経営・管理」に関連する記事はこちら
【経営管理ビザ①】在留資格「経営・管理」の許可要件
【経営管理ビザ②】申請手続きの流れ・スケジュール
【経営管理ビザ③】事業計画書の提出要否と書き方について
【経営管理ビザ④】よくある不許可理由5つとその対応方法
【経営管理ビザ⑤】赤字決算の場合の更新許可申請について
【経営管理ビザ⑥】個人事業主でも許可されるか
【経営管理ビザ⑦】合同会社(持分会社)でも許可されるか
【経営管理ビザ⑧】従業員の雇用が求められる場合とは
【経営管理ビザ⑨】飲食店営業の場合の注意点5つ
【経営管理ビザ⑩】経営改善報告書とは何か(提出が必要な事例)
【経営管理ビザ⑪】「自宅兼事業所」が認められる場合とは
【経営管理ビザ⑫】「資本金」はいくらとするべきか
【経営管理ビザ⑬】不動産業(宅地建物取引業)で許可を得るには
【経営管理ビザ⑭】「旅館業」で許可を得るには
【経営管理ビザ⑮】永住許可申請への変更を目指す際の注意点
【経営管理ビザ⑯】60歳以上であっても許可されるか
【経営管理ビザ⑰】高度専門職(経営・管理)とは
【経営管理ビザ⑱】法人の役員は何名でもいいのか
【経営管理ビザ⑲】経営者が出資しない場合でも許可されるのか(出資要件について)
【経営管理ビザ⑳】在留資格「家族滞在」で家族を呼ぶことができるか
【経営管理ビザ㉑】法人名義の銀行口座の開設について
【経営管理ビザ㉒】役員報酬はいくらで、どのように決定すべきか
【経営管理ビザ㉓】本国から親(両親)を呼ぶことはできるか
【経営管理ビザ㉔】行政書士報酬はいくらぐらいかかるか
【経営管理ビザ㉕】在留期間「3年(5年)」はいつもらえるか
HOME>主な取扱業務>④経営管理ビザ相談センター>【経営管理ビザ⑨】飲食店営業の場合の注意点