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【サ高住③】「居住サポート住宅」とは?「サービス付き高齢者向け住宅」との違いについて、行政書士が解説!
記事作成日:2024年2月14日
最終更新日:2024年9月18日
文責(執筆):行政書士 野村 篤司
「居住サポート住宅」(住宅セーフティネット制度の見直し)とは?
住宅確保用配慮者を対象として、「居住支援法人」等が入居中サポートを行う賃貸住宅のこと
「居住サポート住宅」は、2017年10月にスタートした「住宅セーフティネット制度」の枠組みの中で定められる新たな高齢者向け賃貸住宅の「登録制度」の1つです。見守り等のサポートが受けられる賃貸住宅を対象とした登録制度で、令和6年3月8日に閣議決定され、2024年6月5日に改正法が公布されました(※改正法の施行は2025年秋頃と予定されております)。
「居住サポート住宅」における「サポート」の具体的な内容としては、「IoT等による安否確認(人感センサー等)」の備え付けや居住支援法人の職員の訪問等による「見守り」が想定されています。
また、「貧困ビジネス」が入り込まないように、生活保護受給者が入居する場合の住宅扶助費について代理納付が原則化されるなど、これまでの失敗等の解決も目指しているのが特徴的です。
改正法の施行後10年間で、10万戸の供給を目標とされており、その計画を支援するために「補助金」が予定されております(※いわゆる「拒まない住宅」登録に対する工事費等については既に補助金が公募されております)。
「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定
~安心して居住できる環境を整備するため、住宅セーフティネット法等を改正~
「居住サポート住宅」の認定を得るメリットは?
この「認定制度」開始によるメリットは次の通りです。
<入居者(住宅確保等要配慮者)側のメリット>
・見守りサービスを受けることができ、身寄りがなくても「孤独死」の不安が解消される。
・国や都道府県等が定める一定の基準を満たした住戸しか認定されないため、良質な住環境の確保が期待できる。
・身寄りがいない(存在しないはもちろんのこと、遠方等で頼ることが出来ない場合を含む)場合でも入居できる。 等
<賃貸住宅のオーナー(家主)側のメリット>
・高齢者等の「孤独死」の発生を防ぐことができる。
(※一般的に、孤独死等が発生してしまうと、心理的な理由によって次の借り手が見つかりづらくなったり、発見が遅れてしまった場合には賃貸物件としての経済価値も低くなってしまうなどのリスクがあります)
・「居住サポート住宅」等の公的な登録制度を利用することで、信用力が増し、入居者募集に繋がる可能性がある。
・「居住サポート住宅」としての認定を受けるために要した改修工事費用等の補助を受けることができる。 等
なぜ「居住サポート住宅」が整備されるの?その社会的な背景は?
「居住サポート住宅」の認定制度等が整備される背景として、単身世帯の増加、持ち家率の低下などにより、今後、高齢者や低額所得者などの住宅確保要配慮者(以下「要配慮者」という。)の賃貸住宅への円滑な入居に対するニーズが更に高まることが見込まれていることが挙げられます。一方で、賃貸人の中には、孤独死や死亡時の残置物処理、家賃滞納等に対して懸念を持っている方が多くいらっしゃいます。この法律案は、こうした状況を踏まえ、要配慮者に対して入居前や入居後の支援を行う居住支援法人などの地域の担い手の協力を得ながら、要配慮者が安心して居住できる環境を整備するため、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等を改正するものです。
なお、余談ですが、筆者も、過去に所在地である名古屋市から指定を受け、「居住支援法人」の経営を行っておりました。居住支援法人とは、ご高齢者や外国人、精神障がい者等、社会的に「住まい」を探すうえで難航することが見受けられる「住宅確保等要配慮者」の入居支援(物件の紹介等)、入居後の見守りや相談等を行う法人(都道府県知事や政令指定都市の市長が指定)を言います。
「居住サポート住宅」の正式名称や認定要件は?
「居住サポート住宅」の正式名称は、「居住安定援助賃貸住宅」と言います。
改正住宅セーフティネット法第40条の規定によりますと、賃貸住宅に日常生活を営むのに援助を必要とする住宅確保要配慮者を入居させ、訪問その他の方法によりその心身及び生活の状況を把握し、その状況に応じた利用可能な福祉サービスに関する情報の提供及び助言その他住宅確保要配慮者の生活の安定を図るために必要な援助を行う事業を「居住安定援助賃貸住宅事業」と言い、この事業を実施する者を「居住安定援助賃貸住宅事業者」と言います。
法令上は、「居住サポート住宅」という文言は記載されていないので、注意しましょう。これらの事業者が策定した「居住安定援助計画」について、都道府県知事等から「居住安定援助計画の認定」を受けた場合に、その対象となる住宅が「居住安定援助賃貸住宅」(=居住サポート住宅)となります。
「居住サポート住宅」(居住安定援助計画)の認定基準は?
改正住宅セーフティネット法の第41条に「認定の基準」が定められており、以下の通りです。
(認定の基準)第四一条
都道府県知事等は、前条第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る居住安定援助計画が次に掲げる基準に適合していると認めるときは、その認定をするものとする。
一 居住安定援助賃貸住宅の各戸の床面積が、国土交通省令・厚生労働省令で定める規模以上であること。
二 居住安定援助賃貸住宅の構造及び設備が、住宅確保要配慮者の入居に支障を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
三 前条第二項第六号に掲げる範囲が定められている場合にあっては、その範囲が、住宅確保要配慮者の入居を不当に制限しないものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
四 専用戸数が、国土交通省令・厚生労働省令で定める数以上であること。
五 居住安定援助賃貸住宅の家賃その他賃貸の条件が、国土交通省令・厚生労働省令で定める基準に従い適正に定められているものであること。
六 入居者に提供する居住安定援助の内容が、住宅確保要配慮者の生活の安定を図るために必要なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
七 居住安定援助の提供の対価その他居住安定援助の提供の条件が、国土交通省令・厚生労働省令で定める基準に従い適正に定められているものであること。
八 その他基本方針(居住安定援助賃貸住宅が市町村賃貸住宅供給促進計画が作成されている市町村の区域内にある場合にあっては基本方針及び市町村賃貸住宅供給促進計画、居住安定援助賃貸住宅が都道府県賃貸住宅供給促進計画が作成されている都道府県の区域(当該市町村の区域を除く。)内にある場合にあっては基本方針及び都道府県賃貸住宅供給促進計画)に照らして適切なものであること
なお、該当する「国土交通省令・厚生労働省令」については、本記事執筆時点ではまだ明らかではないため、いずれ明らかになり次第、記事を更新させて頂く予定です。
「居住サポート住宅」(居住安定援助計画)の認定を受けることが出来ない「欠格条項」は?
前述の認定基準を満たしていたとしても、「欠格条項」に当てはまった場合には、都道府県知事等の認定を受けることが出来ません。改正住宅セーフティネット法第42条に規定されています。
(欠格条項)第四十二条
次の各号のいずれかに該当する者は、第四十条第一項の認定を受けることができない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
三 第五十六条第一項又は第二項の規定により認定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
四 暴力団員等
五 心身の故障により居住安定援助賃貸住宅事業を適正に行うことができない者として国土交通省令・厚生労働省令で定めるもの
六 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの
七 法人であって、その役員又は国土交通省令・厚生労働省令で定める使用人のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの
八 個人であって、その国土交通省令・厚生労働省令で定める使用人のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの
九 暴力団員等がその事業活動を支配する者
法律の条文から、いわゆる「貧困ビジネス」を排除したいという強い意志が伺えますね。
「サービス付き高齢者向け住宅」とは何が違うか
そもそも「サービス付き高齢者向け住宅」とは
「サービス付き高齢者向け住宅」とは、高齢者単身・夫婦世帯が居住できる賃貸等の住まいであり、平成23年の「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正により創設された登録制度です。最大の特徴は、「安否確認サービス」と「生活相談サービス」を受けることができる点です。
「居住サポート住宅」と「サービス付き高齢者向け住宅」の違いについて
サポート内容やサービス内容の違いについては、個々の物件ごとに比較することが必要不可欠!
「居住サポート住宅」の認定制度と、既存の「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度との差異(違い)については、次の表のとおりです。ただ、具体的なサポートやサービス内容の差異は、個々の物件同士を十分に比較することが大切です。迷ったときは、行政書士法人エベレスト(筆者)やお近くの「居住支援法人」に相談するようにしましょう。
居住サポート住宅 (居住安定援助賃貸住宅) |
比較項目 | サービス付き高齢者向け住宅 |
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅 の供給の促進に関する法律 |
根拠法 |
高齢者の居住の安定確保に関する法律 |
住宅確保等要配慮者 (※年齢や介護状態は問わない) |
【超重要】 主な対象者 |
(原則として)高齢者に限られる (※介護状態は問わない) |
一般の賃貸事業者 (居住支援法人等と提携) |
主な運営事業者 |
主に介護事業者 (医療法人・社会福祉法人・株式会社等) |
見守りサービス等 (人感センサー設置や見守り訪問等) |
「サービス」 の内容について |
①安否確認サービス ②生活相談サービス |
制度上は、必須とはされていない | 食事の提供 |
制度上は必須ではないが、提供されることが多い (多数が「有料老人ホーム」に該当) |
情報公開制度 | ||
「認定」する都道府県等によって やや異なる |
主な登録要件 |
「登録」する都道府県等によって やや異なる |
あり |
住戸の最低床面積 |
あり |
あり |
家賃等に係る基準 |
あり |
あり |
構造及び設備基準 |
あり |
公募開始予定 |
改修等に係る 補助金制度 |
あり (サービス付き高齢者向け住宅整備事業) |
国土交通省・厚生労働省 (共管事業) |
管轄省庁 |
国土交通省・厚生労働省 (共管事業) |
都道府県知事等 |
申請手続き先 |
都道府県知事等 |
事業者が開設時に 相談できる専門家 |
||
居住支援法人 社会福祉協議会等 |
入居希望者が相談 できる専門機関 |
居住支援法人(対象:高齢者) ケアマネージャー等 |
居住サポート住宅(居住安定援助計画)の認定やサ高住登録のデメリットは?
「事務手続きの煩雑さ」と「整備(改修)コスト」が2大デメリット!
いずれの制度も、認定(サ高住の場合は、登録)を得るために、構造や設備を基準に合わせる必要があります。例えば、サ高住でいえば、バリアフリー、スプリンクラー、窓枠の高さ(転落防止措置)等があります。これらの要件を満たすためには、一般的には建築(改修)費用が余分に生じることとなりますので、コスト的には認定や登録を得る「デメリット」と言えます。また、それぞれの認定や登録を受けた場合、「法定帳簿」を備え付けなくてはなりませんし、5年に一度の更新申請や市区町村長等への報告義務等もある場合がございます。情報公開システムは常に正確な情報に更新しなくてはなりませんし、認定や登録を得ることで確実に事務負担は増えると言えるでしょう。
煩雑な事務手続きは「行政書士」に任せることができ、コスト増は「整備事業補助金」で解決可能!
前述の通り、「居住サポート住宅(居住安定援助計画)認定」や「サ高住登録」を得るメリットがある一方で、事務手続きやコスト増の負担の発生がデメリットと言えます。但し、これらは当法人のような「行政書士」に外注したり、「整備事業補助金」を活用することで、悪影響の低減を図ることが可能です。これらの公的な支援制度もフル活用すると良いでしょう。
「住宅確保要配慮者を拒まない住宅」登録制度や都道府県レベルで進められる「高齢者向け優良賃貸住宅制度」、「終身建物賃貸住宅」登録制度など、住宅確保用配慮者や高齢者を取り巻く住戸認定制度は近年かなり複雑化してきています。それくらい日本国が本腰を入れている(つまり、危機を感じている)社会問題と言えるのではないでしょうか。これらの住宅の設置をご検討されている事業者は、お気軽に筆者(行政書士法人エベレスト)へご相談ください。
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