法定相続情報証明制度(法定相続情報一覧図)とは?行政書士法人エベレストが解説します!
法定相続情報証明制度とは、2017年5月29日(日)より新たにスタートする相続手続きの際の「戸籍謄本等」の添付に関する相続人の負担軽減政策になります。具体的には、相続人を証明する戸籍謄本等一式を一度だけ揃え、それを「法務局」へ提出すれば、「被相続人〇〇〇〇法定相続証明」(法定相続情報一覧図)として公的な書類が無料で発行され、それをもとに不動産の登記手続きはもちろんのこと、各種相続手続きをスムーズに行える(ことが期待される)制度です。
【法務省HP:法定相続情報証明制度が始まります!(外部リンクです)】
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00284.html
なぜこの「法定相続情報証明制度」がスタートしたかと言いますと、相続手続きの最初の一歩でもある「相続人の確定(戸籍の収集)」はとても煩雑であることが背景にあります。
煩雑であることを一つの要因と推測し、「相続登記」(不動産の名義について、相続人の申請により、亡くなった方から、相続した方への名義を変更する登記の手続き)がなかなか進まず、土地の区画整理や空き家の増加問題において、所有者が速やかに確定できないなどの様々な弊害が出てきた為です。
法定相続情報証明制度はいつから始まるの?
平成29年5月29日(月)からスタートします。但し、各金融機関においての対応は個々の金融機関により異なるため、注意が必要です。相続手続きを相続人ご自身でされる際は、事前に各金融機関に直接ご確認ください。お困りごとは行政書士法人エベレストでご相談承ります◎
法定相続情報一覧図の記載内容は?
「法定相続情報一覧図」とは、被相続人の氏名,生年月日,最後の住所及び死亡の年月日並びに相続開始の時における同順位の相続人の氏名,生年月日及び被相続人との続柄を記載した書面のことを言います。
「法定相続情報証明制度」がスタートする以前より、「相続関係説明図」と言われたものと記載内容はほとんど変わりませんが、この法定相続情報証明制度の開始により、不動産登記法その他関連規則において明記されることとなりました。
よくご質問頂きますが、各相続人の「法定相続分」や「相続放棄(の事実)」については、記載がされません。さらに、戸籍が添付できないと利用できませんので、日本国籍以外の方が相続人となる渉外相続事例では利用ができません。
「法定相続情報」を法務局に証明してもらうにはどうすればいいの?
次の手順で行う必要があります。
(1)相続関係を証明する戸籍謄本等をすべて収集する。※現時点では、本籍地のある市区町村役場に請求(郵送可)する必要があり、本籍地以外の市区町村においては発行されません。
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(2)「法定相続情報一覧図」(※列挙方式、手書き可)を作成する。
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(3)「申出書」を記入し、上記(1)と(2)の書類を添付して法務局へ提出する。
※提出先となる法務局の管轄につきましては、被相続人(亡くなられた方)の本籍地、最後の住所地、申出人の住所地のほか、不動産の所在地に対しても申出を行うことができます。一方、代理人の住所地というだけでは提出先の管轄とはなりませんので専門家の方々はご注意ください。
法定相続情報一覧図に「相続人の住所」は必ず記載するの?
亡くなられた方(被相続人)の最後の住所が必須記載であるのに対して、相続人の住所については任意記載となっています。なお、相続人とは関係ない情報、例えば離婚した元妻(夫)や死亡した子(※孫など代襲相続人もいない場合)については、記載しないように致します。
図形式ではなくて単に相続人等を列挙したものでもいいの?
図形式である必要はないとされていますので、単に列挙する形式でも証明してもらえるようです。たとえば下記のような記載です。
最後の住所:東京都〇〇〇区〇〇〇番〇〇
被相続人〇〇 〇〇
(出生:昭和〇〇年〇〇月〇〇日)
(死亡:平成〇〇年〇〇月〇〇日)
相続人 〇〇 〇〇(出生:昭和〇〇年〇〇月〇〇日) 配偶者 ※申出人
相続人 〇〇 〇〇(出生:昭和〇〇年〇〇月〇〇日) 子
なお、下記に法務省HPからダウンロードできるExcelひな形を転載致します。
「法定相続情報一覧図」は手書きでもいいの?Excel(エクセル)様式はある?
明瞭に判別できるのであれば、手書きでもよいとされています。なお、「Excel」の操作ができる方は、法務局から様式がダウンロードできますので、リンク先ホームページをご覧ください。
【法定相続情報一覧図 Excel様式】(外部リンク)
「法定相続情報証明」の申し出は誰でもできるの?行政書士は?
亡くなられた方の「相続人」又は「当該相続人の地位を承継した者」である必要があります。なお、代理人となることができるのは、
(1)法定代理人(未成年の場合の親や成年後見人など)
(2)民法上の親族
(3)資格者代理人(行政書士、司法書士、弁護士、社会保険労務士、土地家屋調査士、弁理士、税理士、海事代理士に限る)
に限られます。提出先が法務局になるため、司法書士又は弁護士にしか代理できないと誤解されがちですが、行政書士や税理士でも代理人として申出を行うことができます。もちろん単なる有資格者(試験合格者)では足らず、きちんと「登録」されていなくてはいけません。下記に、「申出書」のWordファイルを用意いたしました(法務省HPからダウンロードできるものです。様式が変わる可能性がありますので、ご注意ください。平成29年5月29日現在。)
です。様式が変わる恐れがあります。ご注意下さい。
「法定相続情報証明」の申し出は郵送でもできるの?
持参だけではなく、郵送にて法務局へ申し出もできます。大切な書類ですので、到着がわかる方法で送付することを推奨します(郵便局のレターパックライトが便利です)。
「法定相続情報証明制度」の開始で、相続手続きは楽になるの?
正直なところ、結局は『被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本等』は収集しなければならないことには従来と変わりなく、相続人の手間が格段に楽になったわけではありません。
また、相続手続き実務においては、「法定相続情報証明制度」がスタートする以前より、ほとんどの金融機関の相続手続きにおいて、戸籍謄本等の「原本還付」がなされているため、1部さえ取得すれば特に問題なかったため、それほど画期的な制度とはいえないのが当法人代表社員行政書士の私的見解です。
また、(少なくとも制度開始時には)相続放棄の事実が記載されないことや、「遺産分割協議書」については(私文書であることから)「法定相続情報証明制度」の対象外であり、従来通り、金融機関等相続手続きにおいて「その都度」添付書類となります(①相続人が1人の場合、②有効な遺言書に基づいて相続手続きを進める場合、③裁判所の遺産分割調停調書等により相続手続きを進める場合、④相続人全員の署名捺印にて相続手続きを進める場合の4つのケースでは、遺産分割協議書の作成は不要です)。
相続手続きの簡素化に向けた大きな法務省の一歩であり、歓迎すべき制度ではあることは間違いありません。しかしながら、本当に相続登記を推進されたいのであば、もう一歩踏み込んだ「改革」が期待されます。例えば、
(1)相続を原因とする所有権移転登記の際の登録免許税のさらなる軽減(※現在は固定資産評価額の1000分の4の税率で「売買」を原因とする際の1000分の20よりも優遇されています)。
↑特に相続開始から1年以内に限る減税など、効果的かもしれませんね。
(2)マイナンバー制度を活用し、死亡届情報に基づく「お尋ね」制度の導入(法務局側から相続人へ通知し、登記申請を促す)
などが考えられます(余談でした)。なお、不動産の名義変更以外にも、相続手続きは多数あります。まさに相続手続き中!という方は、下記ページからダウンロードできる「相続手続きチェックリスト」も活用してみてください。
⇨「相続手続き一覧表(相続手続きチェックリスト)」(行政書士ブログ)
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☎052-583-8848