最終更新:令和5年4月25日
第10回公募は、これまで(第1回~第9回)とは大きく異なります!
事業再構築補助金第10回の公募要領(サプライチェーン強靭化枠を除く_https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf)を熟読頂きますと、大きな差異がいくつか生じているのが分かります。本記事では、特に注意を要すると思われる変更点「7個」を次の通りまとめさせていただきました。認定経営革新等支援機関や申請を予定されている事業者の方々にとっても参考になれば幸いです。
大きな変更点その1.「売上高減少要件」が必ずしも必要では無くなった
大きな変更点その2.「成長市場への転換」が求められるようになった
大きな変更点その3.「給与総額増加要件」や「補助率引上要件」が付いた
大きな変更点その4.「事業再構築指針」が変更され、説明事項も変わった
大きな変更点その5.「事前着手承認制度」の適用が限定された
大きな変更点その6.「1ページ目」に「事業計画書の参考様式(表紙)」が指定された
順番に見ていきましょう。
大きな変更点その1.「売上高減少要件」が必ずしも必要では無くなった
事業再構築補助金の第1回~第9回までは、一部の申請類型を除き、「売上高等減少要件」が求められ、コロナ禍前後である「2020年4月以降」の売上高等(※連続した6か月間のうち、任意の3か月合計で算出)が、それ以前(2019年~2020年3月まで)と比べて10%以上減少していることが求められていました。しかし、第10回公募以降では、当該「売上高等減少要件」が原則撤廃されました。申請できる対象者が拡大したとも考えられ、ここは良い変更点となります。なお、「最低賃金枠」及び「物価高騰対策・ 回復再生応援枠」については、業況が厳しい事業者向けの支援類型となるため、売上高等減少要件が残っている点にも注意しましょう。
大きな変更点その2.「成長市場への転換」が求められるようになった
「成長枠」の要件の1つとして、「取り組む事業が、過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上拡 大する業種・業態に属していること【市場拡大要件】」とされました。つまり、事業再構築指針に沿ったうえで、かつ「成長分野」への投資であることが求められます。また、「産業構造転換枠」が新たに登場しました。
この「産業構造転換枠」では、「現在の主たる事業が過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上 縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態から別の業種・業態に転 換すること【市場縮小要件】」が付いています。
つまり、「成長枠」と「産業構造転換枠」を合わせて考えますと、日本政府が成長分野にどんどん投資し、衰退する分野からは脱却してほしいと考えていることがよくわかります。第9回以前の「通常枠」にはない要件であり、この点では、対象事業者や対象事業が限定されることとなったと言えるでしょう。それぞれの具体的な対象市場については、事業再構築補助金ホームページにてご確認ください。
なお、当該「成長枠」「産業構造転換枠」以外の事業類型につきましては、これまでと同様に、業種の制限はございません。
大きな変更点その3.「給与総額増加要件」や「補助率引上要件」が付いた
「成長枠」「グリーン成長枠(エントリー・スタンダード)」「(上乗せ枠)卒業促進枠」「(上乗せ枠)大規模賃金引上促進枠」については、「事業終了後 3~5 年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること【給与 総額増加要件】」が付きました。なお、よく比較されることの多い「(通称)ものづくり補助金」では、先行して賃上げが要件に加えられており、それに合わせた形となりました。
また、公募要領3ページに記載の通り、「成長枠」と「グリーン成長枠」において補助率を引き上げるためには、「事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、 ②給与支給総額+6%を達成すること。」という「補助率引上要件」(賃上要件)が付くこととなりました。
日本政府が「賃上げ」に力を入れているのがよくわかります。その賃上げ幅も「事業場内最低賃金+45円」及び「給与支給総額+6%」と大幅な引き上げとなっています。従業員数が多い事業者ほど、賃上げ負担が重くなるため、補助率を引き上げるかどうかについては慎重な検討が必要となります。
大きな変更点その4.「事業再構築指針」が変更され、説明事項も変わった
事業再構築指針の手引きが令和5年3月30日に大幅に改訂されました。事業再構築補助金は、当該「事業再構築の指針」に沿った事業計画であることが前提(共通要件)であるところ、この指針に変更が生じたというのは非常に大きな意味があります。従来までの申請書で説明する項目とも異なっていますので、ここは慎重に対応しなくてはなりません。手引きを熟読しても、類型に応じた説明項目がわからないという方は、有償ですが「事業計画書のひな型」を提供しておりますので、ご検討下さい。
大きな変更点その5.「事前着手承認制度」の適用が限定された
第10回公募においても、「事前着手承認制度」自体は存続しましたが、「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」「サプライチェーン強靭化枠」の3つの申請枠に限られることとなりました。その他の申請枠では適用できないため、原則通り「交付決定後の着手」となります。ご注意ください。
なお、細かい表記ですが、「事前着手」について「申請・承認」とされていましたが「届出・受理」という表現に変わりました(令和5年4月24日)。
大きな変更点その6.初めて「事業計画書の参考様式(表紙)」が指定された
以下は、「事業再構築補助金ホームページ」内での記載です。
以下は、「公募要領(令和5年4月24日改訂)」内の規定です(42ページ)。「1ページ目」という限定がされていますので、特に注意しましょう。
記載の通り、これまでは「完全にフリーフォーマット」でしたが、新たに「事業計画書表紙(参考様式)」が定められることとなりました。この記載を漏らすと、不採択の可能性が高くなることが予想されますので、第10回公募回以降に申請される方は特に注意しましょう。なお、当法人では、これまでと同様、「【事業再構築補助金第10回公募専用】事業計画書の雛型(Wordデータ)」を有償提供しております。自分で一からWord文書を作成するのが困難な方は、ぜひご活用ください。
事業再構築補助金の「採択の第一歩」は、「相談先を間違えないこと」
事業再構築補助金が始まり、1年以上が経過しています。「認定経営革新等支援機関」は全国に多数存在していますが、当該「事業再構築補助金」の経験を積んできたかどうかは大きな差が生じているのが現状です。
ただ単に「認定経営革新等支援機関」であれば相談先として適切かというと、そうではない状況になっています。相談先を間違えないようにしましょう。