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【経営管理ビザ③】事業計画書の提出要否と書き方について
記事作成日:2024年5月3日
最終更新日:2024年5月3日
文責(執筆):行政書士 野村 篤司
1.在留資格「経営・管理」の申請手続きで「事業計画書」の提出要否について
事業計画書の提出が必要になる事例その1:所属機関が「カテゴリ3」又は「カテゴリ4」の場合
「所属機関」の規模等によって、カテゴリ1~4の「4段階」にランク付けを行っており、最も信頼度が高く、提出書類が少ない企業(所属機関)を「カテゴリ1」、反対に、最も信頼度が低く、慎重な審査が求められる企業(所属機関)を「カテゴリ4」とされています。具体的な分類方法は下記の画像の通りです(※たまに変更が生じますのでご留意ください)。
この分類により、「カテゴリ3」又は「カテゴリ4」に該当した場合は、在留資格変更許可申請であっても在留資格認定証明書交付申請であっても、「事業計画書の写し」の提出が必須となります。なお、新たに設立した会社であってまだ1期を終えていない場合は、当然ながら「カテゴリ4」となります。そのため、在留資格「経営・管理」の申請手続きにおいて、事業計画書の提出が求められることが大多数となっています(既設法人の取締役に就任するケースは少ないため)。
なお、「在留期間更新許可申請」の場合は、必ず直前期に係る「直近の年度の決算文書の写し」が存在しますので、原則として事業計画書の写しの提出は求められておりません。「計画よりも実績」を見て審査されるためです。しかし、在留期間更新許可申請の手続きにおいて、追加資料として「事業計画書の写し」の提出が求められることはあり、それが次に記載する場合です。
事業計画書の提出が必要になる事例その2:直前期決算において営業損失又は純損失が発生した場合
「本業の儲け」を示す営業利益がマイナスとなった場合を「営業損失(の発生)」と言い、本業の儲けだけではなく、特別利益(特別損失)や雑収入(雑損失)も含めて、税金を支払った後の最終利益がマイナスとなった場合を「純損失(の発生
)」と言います。このような場合では、「在留期間更新許可申請」に係る審査をするうえで、直ちに不許可になるわけではございませんが、最初の申請で提出していた事業計画書の中の「収支計画書」と不一致が生じているケースが多いことから、「事業計画の見直し」という意味で、改めてブラッシュアップした事業計画書の写しを提出すべき事例となります。
なお、在留期間更新許可申請時における決算状況によっては、「事業計画書の写し」では足らず、「中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)」の提出まで求められる場合がございます。これについては、別記事(【経営管理ビザ⑤】赤字決算の場合の更新許可申請について)で詳しく解説致します。
事業計画書の提出が必要になる事例その3:(更新申請時に)事業内容に大きな差が生じている場合
事業を経営していると、様々な理由により、新規事業が生まれたり、既存事業から撤退するような事例が当たり前のように発生します。事業内容に変更が生じたか否かは、決算文書の情報だけを見ても定かではありません。そのため、初めて在留資格「経営・管理」を得た時から、大きく事業内容について変更が生じている場合は、改めて「事業計画書の写し」を提出しておくのが適切でしょう。なお、具体的には、主たる事業について産業分類上の変更が生じた場合には、提出することをお勧めします。例えば、「旅館業」から「飲食店経営」などです。単に新規事業を始めただけであり、売上高も計上されていないというだけでは、(特に追加資料として求められない限りは)提出は不要かと存じます。ちなみに、定款の「目的」についても変更が生じた場合は、登記の変更手続きが必要ですので、その点は注意が必要です。
2.「事業計画書」の書き方について
(1)「収支計画書(表)」を忘れずに作成して下さい
広く「事業計画書」と言っても、法律で記載事項が決められているわけではございませんので、何を記載したらいいか悩まれる方が多くいらっしゃいます。また、あくまで「在留資格審査」のであり、「融資審査」とも違いますので、銀行に提出するような事業計画書ともやや異なります。また、最低でも「収支計画書(表)」が求められており、「最短でも3年後まで」の「収支計画書(表)」を作成するようにしましょう。
「収支計画書(表)」とは、個人の場合は1月1日~12月末まで、法人の場合は1事業年度において、実際に売上高や営業利益がどれくらい出るのかをわかりやすく表にした書類のことを言います。なお、以下のリンク先にて、実際に当法人が申請で用いている「エクセルシート」を有償にて提供しておりますので、自分で作る時間を節約したい方は是非ご活用ください。「事業計画書」の基本的な雛がた(フォーマット・テンプレート)も提供がございます(好評頂いております)。
(2)事業計画書の書き方(一般的な記載項目について)
当社が推奨する記載項目は、以下の通りです。これが全てではございませんが、「最低限」これらについては記載が必要になると考えます。なお、記載の分量としては、「収支計画書(表)」を除き、「事業計画書」としては3~5枚(A4サイズ)で問題ございません。「記載の分量」で善し悪しが判断されるわけではないためです。
記載項目1.自社の事業概要について
→まずは簡単に事業内容を説明します。例えば「貿易事業」を営む場合、単に「貿易事業」と記載するだけではわかりません。貿易事業の場合、輸出(日本で安く仕入れて、海外で販売するために輸出)なのか、輸入(海外から安く仕入れて、日本国内で販売するための輸入)なのかは最低限明確にしなくてはなりませんし、「どこの国との取引か」についても明確にすべきでしょう。つまり、自社が取り組む事業の「概要」と言っても、ある程度詳しく説明する必要があります。なお、詳しく説明したWEBサイトや会社紹介パンフレットがある場合は、「別紙の通り」としても構いません。
記載項目2.自社の主力商品・サービスについて
→事業内容の「解像度」をさらに高めるために、具体的な商品やサービスについて、売上高を構成する割合が最も大きいもの1~3点程度について、素人でもわかるように、丁寧に説明をすると良いでしょう。具体的な「単価」や「特徴」について、その商品写真なども一緒に記載すると良いですね。「飲食店」や「エステサロン」等の店舗系事業を営む場合は、実際の「メニュー表(料金表)」を添付するようにしても良いでしょう。
記載項目3.SWOT分析
→「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4点について、内的要因・外的要因に分けて分析し、「表形式」を用いた事業分析ツールの1つです。例えば、「経営管理ビザ相談センター™」を運営する当法人(行政書士法人エベレスト)の場合は、以下の通りです。
記載項目4.自社が想定する主なターゲット顧客について
→どういった人たち(又は企業)が顧客になるのかを記載します。個人を対象とするのか、企業間取引を対象とするのか、いわゆる「BtoC」か「BtoB」なのかを意識し、できるだけ細かい設定で想定顧客の説明をすると良いでしょう。
記載項目5.仕入れ先及び販売先の情報
→具体的に仕入れ先や販売先が決まっているときは、その企業情報や取引価格等を記載します。なお、不特定多数の個人や法人顧客を相手とする場合は、「商圏(エリア)」や「年間見込販売客数」等を記載するようにしましょう。
記載項目6.自社が提供する商品・サービスに係る「現在の市場規模」及び「将来の市場見込」について
→例えば「旅館業」の場合は、「訪日外国人観光客数の推移グラフ」などが観光庁などにより公表されておりますので、そういった市場データを基に需要予測について説明します。市場調査会社等にお金を払って調査してもらうことも可能ですが、数十万円以上かかる場合が多いので、あまりお勧めしません。公開されている公的なデータで十分です。
記載項目7.その他・特記事項
→上記6項目以外に、特に記載しておきたい事項があれば記載します。例えば補助金制度の採択を受けていたり、スタートアップ企業として注目された新聞記事がある場合などです。特になければ、何も記載しなくても構いません。経営理念や意気込みなどは、在留資格審査上は無意味ですが、代表者の事業経験やスキル等があれば記載するようにしましょう。
在留資格「経営・管理」に関するご相談は、行政書士法人エベレスト!
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