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【経営管理ビザ①】在留資格「経営・管理」の許可要件

記事作成日:2024年5月2日

最終更新日:2024年5月2日

文責(執筆):行政書士 野村 篤司

1.在留資格「経営・管理」の活動内容及び許可要件の概要について

1.該当例:企業等の「経営者」・「管理者」

本邦(日本)において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(入管法別表第一の二の表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)が該当します。

 

1-1.「経営者類型」要件(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令)

申請人が次のいずれにも該当していること。

 

一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし,当該事業が開始されていない場合にあっては,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。

 

二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。

 

イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。

 

資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること。

 

ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。

 

1-2.「管理者類型」要件(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令)

申請人が次のいずれにも該当していること。

一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし,当該事業が開始されていない場合にあっては,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。

二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。

イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。

ロ 資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること。

ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。

三 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は,事業の経営又は管理について三年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し,かつ,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

 

2.「事業」には、「適正性」「安定性」「継続性」の3点が求められます。

2-1.事業の「適正性」について

「適正性」とは「適法性」とほぼ同義であり、事業を行う上での許認可の取得(一般貨物自動車運送事業許可、旅館業許可、飲食店営業許可、有料職業紹介事業許可、宅地建物取引業免許など、事業に係る許認可は無数に存在します)をまずは抑えましょう。なお、法人を設立したり、労働者を雇用したりする場合には、「労働保険(労災保険・雇用保険)」の加入や「社会保険(厚生年金・健康保険)」への加入(適用事業所の場合)も当然に求められます。

 また、各種の「税金」についても適切に支払っていなくてはなりません。例えば、許認可は必要としませんが、「貿易事業(輸出入)」を営む場合には、「消費税の不正還付」などが考えられます。こういった違反事例などに抵触しないよう、適正に事業が行われていることが大前提となります。

 

2-2.事業の「安定性」について

下記参照。

 

2-3.事業の「継続性」について

事業の「安定性」と「継続性」はほぼ同義ですが、簡単に言えば、「倒産しないかどうか」と考えて頂いて構いません。例えば、新しく会社を作り、新規事業としてスタートする場合は、過去の「決算報告書」が存在しないため、「事業計画書を」を基に判断することになりますが、売上高の計上が見込めないか、売上高は経常できても利益が見込めないような事業計画では、不許可となります。なお、毎事業年度「黒字」であるのが「理想」ですが、様々な理由により「赤字決算」となる場合があります。赤字が出たからと言って直ちに「安定性」「継続性」が否定されるわけではございません。

 

この部分については、別記事にて詳しく解説させて頂きます。

 

3.「事業所の存在・確保要件」について

「事業所」と言えるためには、次の2つの要件を満たす必要があります。

上陸基準省令の「経営・管理」の項の1号には、「事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」又は「事業を営むための事業所が本邦に存在すること」とする基準が定められているところ、事業所については、総務省が定める日本標準産業分類一般原則第二項において、次のように規定されています。


  ○ 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
  ○ 財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること。


以上の二点を満たしている場合には、上陸基準省令の「事業所の確保(存在)」に適合しているものと認められるところ、「経営・管理」の在留資格に係る活動については、事業が継続的に運営されることが求められることから、月単位の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合には、上陸基準省令の要件に適合しているとは認められません。


   出入国在留管理庁における上陸基準省令の「経営・管理」の項の1号への適合性の判断においては、事業所が賃貸物件であることが一般的であるところ、当該物件に係る賃貸借契約においてその使用目的が事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明らかにし、賃貸借契約者についても当該法人等の名義とし、当該法人等による使用であることを明確にすることが必要です。

 

ベンチャー企業などとして起こされた企業については、設立当初は規模が小さいことや少人数での事業運営が可能であること等から、住居としても使用している施設を事業所と定めて事業を行う場合等がありますが、住居として賃借している物件の一部を使用して事業が運営されるような場合には、住居目的以外での使用を貸主が認めていること(事業所として借主と当該法人の間で転貸借されることにつき、貸主が同意していること。)、借主も当該法人が事業所として使用することを認めていること、当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること、当該物件に係る公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること及び看板類似の社会的標識を掲げていることを必要とします。


    なお、インキュベーター(経営アドバイス、企業運営に必要なビジネスサービス等への橋渡しを行う団体・組織)が支援している場合で、申請人から当該事業所に係る使用承諾書等の提出があったときは、(独)日本貿易振興機構(JETRO)対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)その他インキュベーションオフィス等の一時的な住所又は事業所であって、起業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与されているものの確保をもって、上陸基準省令にある「事業所の確保(存在)」の要件に適合しているものとして取り扱うこととします。

 

4.「事業規模要件」について

パターン1.「資本金」を500万円以上に設定する。

「資本金」で判断するのが、最も基本的なパターンです。「会社(株式会社に限りません)」には「資本金」が存在しますが、これを単純に「500万円以上」とすれば事業規模要件を満たすと考えます。なお、「見せ金」は絶対にいけませんので、「どのように500万円を用意したのか」についてはしっかりとした説明が求められます。必ずしも「自己資金」であることが求められるわけではなく、「金銭消費貸借」うや「(親族からの)贈与」により調達することも否定されませんが、それぞれ契約書の作成や贈与税の納税などが必要です。

 

なお、「資本金の出資者=株主」となりますので、原則として、申請人が100%出資することが望ましいです。但し、必ずしも申請人が出資しないと許可されないわけではございませんので、ご留意ください。つまり、あくまで「事業規模要件」であり、「出資要件」ではないのです。ただし、「個人事業主」でも在留資格「経営・管理」を取得することが可能ですが、この場合は「資本金」という概念がありませんので、「出資(≒支出)」が求められます。「飲食店」などの「店舗」を構える必要のある事業では、店舗の賃貸料や改装費用等について500万円以上拠出することで、在留資格「経営・管理」を取得するケースもございます。

 

パターン2.「二人以上の常勤の職員」を従事させる。

起業時にまとまった資本金を用意できない場合であり、かつ人手が必要となる事業形態の場合によく用いられる方法です。この要件を満たす職員は、日本に居住する「日本人」「特別永住者(在日韓国人・在日朝鮮人)」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」でなくてはならず、在留資格「技術・人文知識・国際業務」や在留資格「特定技能1号」であってはいけません。

 

なお、「常勤」であることも求められており、具体的には「労働日数週5日以上」であり「週労働時間30時間以上」が求められます。「派遣社員」や「業務委託社員」では認められない点もご留意ください。

 

パターン3.「(イ又はロに)準ずる規模」で要件を満たす(パターン1とパターン2の併用)

例えば、「資本金」は「300万円」しかないものの、「常勤の職員」を1名だけ雇用するような事例です。資本金として「500万円はなかなか用意することが難しい!」といった場合には、検討すると良いでしょう。

 

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