新たな外国人材受入れのための在留資格「特定技能(とくていぎのう)」が創設されました!(更新日2020年2月8日)
新しい在留資格「特定技能」(とくていぎのう)が創設されることとなりました。2019年4月1日に施行され、本ブログは、法務省HP下記リンク先を参考に執筆しております。可能な限り最新の情報を公開できるように努めますが、必ずリンク先情報にて、特定技能ビザに関する最新の情報を確認の上、意思決定されるようにご注意ください。
→新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」の創設等)(法務省HP)
【補足】特定技能外国人の支援に係る「登録支援機関」について
1号特定技能外国人と「特定技能雇用契約」を締結する「特定技能所属機関」は、「1号特定技能外国人支援計画」を定めなくてはなりません。「1号特定技能外国人支援業務」を行う「登録支援機関」の登録手続き、必要書類、登録拒否事由などは、次のブログ記事にまとめましたので、そちらをご確認ください。
⇒【登録支援機関】特定技能ビザに係る登録支援機関の登録申請手続き(登録要件・必要書類・申請先など)について、行政書士法人エベレストが解説!
⇒【専門支援サイトはこちら】 登録支援機関登録申請手続きと在留資格「特定技能(ビザ)」申請取次に強い行政書士に相談するなら、特定技能シェルパ ~名古屋・大阪・東京ほか全国の出入国在留管理庁対応~
新たな在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」とは?分野は?
特定技能1号(制度開始時点で計14分野)
「特定技能1号」とは、不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。「特定技能2号」とは異なり、家族の帯同は基本的に認められていません(家族帯同不可)。また、在留期間を「通算で5年」を上限とされています。全産業にて受け入れが認められるわけではなく、本ブログ執筆現在では、下記の「14分野」が定められています。
(1) 介護 (8) 自動車整備
(2) ビルクリーニング (9) 航空分野
(3) 素形材産業 (10) 宿泊
(4) 産業機械製造業 (11) 農業
(5) 電気・電子情報関連産業 (12) 漁業
(6) 建設 (13) 飲食料品製造業
(7) 造船・舶用工業 (14) 外食業
【注意!】新しい在留資格「特定技能ビザ」においては、まず「14分野」に該当するか要確認!
下記リンク先にある「日本標準産業分類」で、14分野に該当するか否かを細かくチェックする必要があります。分野によっては細かい業種限定がありますので、「分野別運用要領」を見ながら、慎重に確認する必要があります。例えば「プラスチック射出成形」を業務としていても、自動車部品の加工等を主とする企業では、申請しても不許可になる可能性がかなり高いです。この理由がわからない方は当法人へご相談ください。
後述していますが、「特定技能ビザ」は最難関の在留資格です。不法就労助長を防ぐため、当社又はお近くの申請取次行政書士のアドバイスを仰ぐことをお勧め致します。
特定技能2号(制度開始時点で計2分野)
「特定技能2号」とは、同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。「特定技能1号」とは異なり、家族の帯同が可能であり、また在留期間の更新が可能です。本ブログ記事執筆現在においては、「建設」及び「造船・船用工業」の2つの分野のみ、想定されていますが、それ以外の業種では用意されていません。今後は特定技能ビザの受け入れ対象分野(業界)が拡大される可能性はあります。
「特定技能外国人」とは?
「特定技能1号」及び「特定技能2号」の在留資格を持つ外国人の総称であり、法律に明記されています。主な要件として「技能水準」と「日本語能力」が一定水準以上であると認められる必要(※)があります。「学歴」は関係がないため、従来の就労系在留資格「技術・人文知識・国際業務」と比べて就労できる可能性の外国籍の方は格段に増えています。
※原則として「技能試験」及び「日本語試験」を突破する必要がありますが、「技能実習2号」を修了した外国籍の方は試験免除されています。「修了」できなかった場合でも、一定の条件で認められる可能性がありますので、個別にご相談下さい。
※「特定技能試験」については、2019年4月より分野別に順次国内外にて実施されます。定員がすぐに埋まってしまうため、お早めに申し込み必要があります。
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針等について
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針の概要(法務省)
特定の分野に係る要領別冊
以下のリンク先ホームページから入手可能です。分野ごとに定められている運用要領の「別冊」が実質的な審査要領となっているため、熟読したうえで申請の準備を行う必要があります。難しい場合は、「特定技能」の許可実績を複数有する「行政書士法人エベレスト」へご相談ください。
「特定技能外国人」を受け入れる際の注意点は?
①【特定技能外国人雇用契約】「受入れ機関」に関する規定整備を!
(1)特定技能外国人の報酬額が日本人と同等以上であることなどを確保するため、特定技能外国人と受入れ機関との間の雇用契約は、所要の基準に適合することが求められます。当たり前ですが、最低賃金以下の給与水準では許可されません。
(2)①雇用契約の適正な履行や②支援計画の適正な実施が確保されるための所要の基準に適合することを求める。
「技能実習制度」で失踪者が多くいる現状などを踏まえ、上記2点が整備されることとなりました。なお、(2)②については、受入れ機関は、特定技能1号外国人に対する支援を登録支援機関に全部を委託すれば、この基準に適合するものとみなされます。そのため、特定技能外国人を雇用するうえでの実務場面では、「登録支援機関」への「全部の委託」が必要不可欠になってくると考えています。
1号特定技能外国人に対する支援の内容については、主として以下の9項目が列挙されています。具体的には、様式がございますので、添付資料をご確認ください。
①外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供(外国人が理解することができる言語により行う。④、⑥及び⑦に同じ。)
②入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り
③保証人となることその他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施
④外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施(預貯金口座の開設及
び携帯電話の利用に関する契約に係る支援を含む。)
⑤生活のための日本語習得の支援
⑥外国人からの相談・苦情への対応
⑦外国人が履行しなければならない各種行政手続きについての情報提供及び支援
⑧外国人と日本人との交流の促進に係る支援
⑨外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合において、他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて「特定技能1号」の在留資格に基づく活動を行うことができるようにするための支援
【特定技能ビザ】1号特定技能外国人支援計画書について(様式第1ー17号)
この「1号特定技能外国人支援計画書」は雇い入れる「特定技能外国人ごと」に作成する必要があります。
②【特定技能ビザ】「フルタイム」としたうえで、原則として「直接雇用」を!「労働者派遣」の形態での就労はできません!
「特定技能外国人」の雇用形態について、フルタイムとしたうえで、原則として直接雇用が条件となります。特定技能所属機関(入管法第19条の18第1項に規定)が、特定産業分野に係る業務又はこれに関連する業務を行っている場合などであって、分野の特性に応じ、派遣形態とすることが必要不可欠なものである場合には、例外的に「特定技能所属機関」が派遣元となり、派遣先へ派遣を行う派遣形態を採用することを認めることとし、分野別運用方針に明記されています。本ブログ執筆現在では、「農業」「漁業」の2つの分野のみに労働者派遣が認められていますが、その他産業においては、労働者派遣形態は認められていません。
③特定技能に関する二国間の協力覚書(MOC)を必ずチェックする!!
特定技能に関する二国間の協力覚書(MOC)を必ずチェックする必要があります。未締結国の場合は、特に注意が必要です。以下のブログ記事を参照下さい(当社関連サイト)。
→二国間協定(特定技能に関する二国間の協力覚書:MOC)が未締結の国籍であっても、在留資格「特定技能」が得られるか
【特定技能ビザ】で外国籍労働者を就労させるには、従事する業務の範囲について細かい理解が必要!必ず「運用要領」を確認!
特定技能1号:介護
身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)とし、訪問介護等の訪問系サービスにおける業務は対象としない。なお、事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすること。
特定技能1号:ビルクリーニング
建築物「内部」の清掃。なお、特定技能所属機関は、都道府県知事より、建築物衛生法第12条の2第1項第1号に規定する建築物清掃業又は同項第8号に規定する建築物環境衛生総合管理業の登録を受けていることが必要になります。
特定技能1号:素形材産業
試験区分ごとに業務区分が決められているため、逸脱しないように注意すること。別表については本ブログ上部の運用要領にてご確認ください。
特定技能1号:産業機械製造業
試験区分ごとに業務区分が決められているため、逸脱しないように注意すること。別表については本ブログ上部の運用要領にてご確認ください。
特定技能1号:電気・電子情報関連産業
試験区分ごとに業務区分が決められているため、逸脱しないように注意すること。別表については本ブログ上部の運用要領にてご確認ください。
特定技能1号・2号:建設
試験区分ごとに業務区分が決められているため、逸脱しないように注意すること。あわせて、これらの業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例 :作業準備、運搬、片付けのような試験等によって専門性を確認されない業務)に付 随的に従事することは差し支えない。建設分野の対象は、日本標準産業分類「D 建設業」に該当する事業者が行 う業務とされています。別表については本ブログ上部の運用要領にてご確認ください。なお、特定技能所属機関に対して特に課す条件として、次の11項が列挙されています。
① 特定技能所属機関は、建設業法(昭和 24 年法律第 100 号)第3条の許可を受 けていること。
② 特定技能所属機関は、国内人材確保の取組を行っていること。
③ 特定技能所属機関は、1号特定技能外国人に対し、同等の技能を有する日本 人が従事する場合と同等以上の報酬額を安定的に支払い、技能習熟に応じて昇 給を行う契約を締結していること。
④ 特定技能所属機関は、1号特定技能外国人に対し、雇用契約を締結するまで の間に、当該契約に係る重要事項について、母国語で書面を交付して説明する こと。
⑤ 特定技能所属機関は、当該機関及び受け入れる特定技能外国人を建設キャリ アアップシステムに登録すること。
⑥ 特定技能所属機関は、外国人の受入れに関するア①の団体(当該団体を構成 する建設業者団体を含む。)に所属すること。
⑦ 特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人の数と特定活動の在留資格で受 け入れる外国人(外国人建設就労者)の数の合計が、特定技能所属機関の常勤 の職員(外国人技能実習生、外国人建設就労者、1号特定技能外国人を除く。) の総数を超えないこと。
⑧ 特定技能所属機関は、国土交通省の定めるところに従い、1号特定技能外国 人に対する報酬予定額、安全及び技能の習得計画等を明記した「建設特定技能 受入計画」の認定を受けること。
⑨ 特定技能所属機関は、国土交通省又は国土交通省が委託する機関により、⑧ において認定を受けた計画を適正に履行していることの確認を受けること。
⑩ ⑨のほか、特定技能所属機関は、国土交通省が行う調査又は指導に対し、必 要な協力を行うこと。
⑪ そのほか、建設分野での特定技能外国人の適正かつ円滑な受入れに必要な事 項
特定技能1号・2号:造船・舶用工業
試験区分ごとに業務区分が決められているため、逸脱しないように注意すること。別表については本ブログ上部の運用要領にてご確認ください。
特定技能1号:自動車整備
自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備。なお、特定技能所属機関は、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第78条第1項に基づく、地方運輸局長の認証を受けた事業場であることが必要です。また委託先となる「登録支援機関」にも要件が追加されるため、注意が必要です。
特定技能1号:航空
試験区分に応じて、「空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等)」又は「航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)。
特定技能1号:宿泊
宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務。なお、1号特定技能外国人が従事する業務内容を踏まえ、旅館・ホテル営業の形態とするとともに、以下の条件を満たすものとします。
(ア)旅館業法第2条第2項に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けた者であること。
(イ)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風俗営業法という。)第2条第6項第4号に規定する「施設」に該当しないこと。
(ウ)特定技能外国人に対して、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと。
特定技能第1号:農業
試験区分に応じて、「耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別など)」又は「畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別など)」。なお、直接雇用の場合において、特定技能所属機関となる事業者は、労働者を一定期間以上雇用した経験があることが求められます。
特定技能第1号:漁業
試験区分に応じて、「漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等)」又は「養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等)」。
特定技能第1号:飲食料品製造業
飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く。)の製造・加工、安全衛生)。
特定技能第1号:外食業
外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)。但し、風俗営業法第2条第4項に規定する「接待飲食等営業」を営む営業所において就労、同法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと。
特定技能外国人は、「転職」や「掛け持ち」は認められる?
特定技能外国人の「転職」可否について
同一の業務区分内又は試験等によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間においてのみ、転職(法務大臣が指定する本邦の公私の機関の変更)が認められます。なお、退職から3か月を超えた場合には、特定技能に該当する活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除き、在留資格の取消手続きの対象となり得ます。
特定技能外国人の「掛け持ち」可否について
「フルタイム」が基本であることから、外国人が所属する機関は1つに限定され、複数の特定技能所属機関との雇用に関する契約は認められません。また、受け入れる外国人に対する報酬は、預貯金口座への振込等支払額が確認できる方法による行うことにも注意が必要です(現金手渡しはNGです)。
もしかして【特定技能ビザ】での労働者受入れは難しい?
他の就労系在留資格である「技術・人文知識・国際業務」や就労に制限がない「日本人の配偶者等」「定住者」などとは異なり、「1号特定技能外国人支援計画」、平たく言えば「手厚いフォロー」が必須です。「登録支援機関」へ「全部の委託」をすることで実施したこととみなされますが、当然、毎月のコストが発生致します。
またよく誤解されがちですが、「単純労働が認められた」という表現は決して的確な表現ではなく、例えば「ホテルでの清掃スタッフ」だけでは不許可になります。あと「コンビニ」での就労も認められいません。
各種基準省令や要領を合計するとざっと500ページを超える関係法令があり、最難関の在留資格と言えます。安易にこの在留資格を使うことなく、専門家たる申請取次行政書士に相談し、慎重に雇い入れる検討を進めましょう。下手をすると「不法就労助長罪」として罰せられかねません。
事業上の「戦力」として適法な在留資格を保有する外国人材(特定技能ビザ他)を採用したい!そんなときは?
外国人材に特化し、在留資格や労務管理などをトータルでサポートする「エベレストキャリア™」(有料職業紹介事業)
上記のように、「特定技能外国人」の採用・雇用は、経験がない事業主にとっては、決して簡単とは言えません。日本人社員の雇用とは異なり、入管法をはじめ、様々な規制をクリアしなくてはならないのです。しかし、外国人材を雇用することでインバウンド需要を取り組める新たな事業の柱が出来たり、「労働力」以上に戦力として経営環境を向上させるでしょう。外国人材を雇用し、様々なサポートを受けたい!という事業主の方は、「エベレストキャリア™」へご相談ください。
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