「職場のルールブック」とは?
(1)「職場のルールブック」について
「職場のルールブック」とは、明確な法律上の定義があるわけではございませんが、当社としては『「事務所」や「工場」など、日本国内に存在するあらゆる「働く場所」で適用される様々な「規則・ルール」をまとめた書類のこと』と定義しています。
このような書類として、法的な効力のある文書としては「就業規則」が該当しますが、労働基準法で届出が義務付けられているのは常時10人以上の労働者を有する事業場のみであり、まだまだ「職場の規則・ルール」が「明文化・徹底共有」されていない事業所も少なくありません。
また、法定されている「就業規則」は、法律上の規定が根拠になっていることもあり、堅苦しく、一般的になじみのない難しい法的表現も散見されます。さらに、「就業規則」に記載することで、使用者側(企業)と被用者側(働く人)との間である程度の法的な拘束力を発揮してしまうこともあり、「ちょっとした決まり」について記載するのは難しいというデメリットがあります。
これらを解決するものとして、職場の円滑なコミュニケーションの促進や、職場内での様々なトラブルの発生の予防策として期待できるのが「職場のルールブック」になります。
(2)「職場のルールブック」(※社会保険労務士・申請取次行政書士が監修)のサンプル画像
下記画像は、実際にテンプレート(雛型・参考様式)として提供している「自由に編集が可能な職場のルールブック(社会保険労務士監修)」の参考画像です。Microsoft社の「Word」で作成しているため、多くの方に、簡単に加筆修正頂き、「自由に編集が可能である」ことが一番の特徴です。
(3)職場のルールブックと就業規則との違い
「職場のルールブックは、就業規則とは何が違うの?」とよく質問されますので、主な相違点をまとめてみました。
そもそも就業規則については、労働基準法に基づく法律文書として、常時10人以上の労働者を使用する事業所においては、変更の都度、労働者の過半数を代表する従業員代表の意見を聴取する必要があったり、その都度届出義務が発生したり、就業規則は「なかなか自由に編集ができない」というデメリットがあります。
そのため、就業規則には書くべきではないような任意的な細かい職場のルールについては、「就業規則」としてではなく、関連文書ではあるものの、完全な別書類として、「職場のルールブック」を定めておくことで、臨機応変に職場のコミュニケーションの円滑化に寄与することが期待できます。
<就業規則に係る労働基準法上の規定(抜粋)>
第九章 就業規則
(作成及び届出の義務)
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
(作成の手続)
第九十条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
② 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
(法令及び労働協約との関係)
第九十二条 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
② 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。
(労働契約との関係)
第九十三条 労働契約と就業規則との関係については、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十二条の定めるところによる。
(以上、抜粋)
(3)ー1.比較表(就業規則・職場のルールブック)
「職場のルールブック」には何を記載する?
(1)「職場のルール」に関することなら、何を書いてもOK
「職場のルールブック」は、前述の通り、「就業規則」とは根本的に異なりますので、「絶対的必要事項」や「相対的必要事項」などの法的な制約はございません。「職場」に関する「ルール(取り決め等)」であれば、なんでも気軽に記載することが出来ます。
とはいえ、「職場」でルール化しておくべきことは山ほどあります。全くのゼロから明文化してくのはとても大変です。
当社では左画像にある「目次」のとおり、一般的事項についてルール化しておいた方がいいかなという点をまとめました。
この中でも、特に最近では、特に「各種ハラスメント」に関する防止ルールは明記しておくべきでしょう。
また、昨今では、ちょっとしたことでインターネット上で「炎上」することが日常茶飯事ですので、「SNSの活用ルール」も極めて大事です。とにかく「ルール化していかないと心配だ」という点は、できるだけ記載するようにしましょう!
(2)「職場のルールブック」のテンプレート(雛型・参考様式)を、自由に編集が可能な状態で!
その「職場のルールブック」について、「自由に編集ができるWord版のテンプレート・雛型が欲しい」というお声があり、株式会社エベレストコンサルティングにて、「ダウンロードによる電子提供」を行っております。
「職場のルールブック」を策定したいと考えた場合に、当該雛型・テンプレート(50ページ超・4万字超えの十分なボリュームがあります!)があると、スムーズかつ短時間で「職場のルールブック」の作成が可能となります。
自由に編集が可能なWordデータを用いているため、これらの参考目次の他にも、業界ごとに業界ルールを記載したり、部署ごとでルール化したりといった使い方が可能です。
「職場のルールブックが」あることで、「暗黙知」だったことが明確になり、職場内のコミュニケーションが円滑になったり、ちょっとした解釈の違いを防ぐことが出来ます。是非、職場のルールブックの活用をご検討ください。特に、外国人を雇用する職場、テレワーク導入済みの事業者に推奨します。