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【サ高住②】サブリース契約ならどっち?普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約の違い

記事作成日:2019年1月1日
最終更新日:2024年5月13日
文責(執筆):行政書士 野村 篤司

借家契約には「普通借家」と「定期借家」の2種類(借地借家法)

「普通」建物賃貸借契約と「定期」建物賃貸借契約の違い(比較表)

まずはその「普通借家」と「定期借家」との違いを比較してみましょう。なお、「解約」については、①債務不履行による法定解約、②契約書で定めた約定解約、③当事者間の合意による合意解約の3パターンでしか解約はできませんので、期間を定めた場合で中途解約権を定めていない場合は、中途解約はできないという点はいずれも同じです。

 

「普通」建物賃貸借契約 比較項目 「定期」建物賃貸借契約
 民法及び借地借家法第26条~第37条 根拠条文 借地借家法第38条(法改正により2000年3月1日から定期借家契約がスタート)
建物 目的物 同左

限定なし

(事業用でも居住用でも可)

用途

同左

書面はもちろん、口頭でも可 契約方式

必ず書面による

(※公正証書である必要なし)

(原則)更新される

(※貸主からの解約申入れや更新拒絶には、「正当の事由」が必須≒例外あり。平成4年8月1日施行以前の契約は経過措置あり。)

 

更新の有無

無い

(※1年以上の契約の場合には、6か月前までに終了通知義務あり)

更新がない旨等の

説明&書面交付義務

(契約書とは別個独立の書面で)あり

(借地借家法第38条2項・3項)

※説明がない場合は無効となる

制限なし

(1年未満とした場合、期間の定めなしとみなされる。なお2000年3月1日法改正以前の契約は民法第604条に基づく最大20年)

契約期間の制限 制限なし
※1年未満も可能

期間の定めがない場合はいつでも可能

(民法第617条)

期間の定めがあっても特約あれば可能

(民法第618条)

賃借人からの解約申し入れ

居住用かつ床面積が200㎡未満の建物に係る場合に限り、やむを得ない事情がある場合は、中途解約規定がなくても可能(※賃借人に有利な特約のみ別の定めも有効

正当事由が必要

(借地借家法第28条)

※賃借人に不利な特約は無効

(借地借家法第30条)

※解約権が留保されていることが前提

賃貸人からの解約申し入れ

同左

適用あり

(特約で排除可能)

造作買取請求権

(第33条)

同左

経済事情の変動等があれば可能。但し、一定期間増減しない旨の特約がある場合は、その特約に従う(借地借家法第38条1項)

借賃増減請求権の有無 借賃の改定に係る特約がある場合は適用なし(借地借家法第38条7項)。

※2019年1月1日執筆時点での法令に依ります。今後の改正等にご注意ください。

建物の貸主側から見たメリット、借主側から見たメリットは?

建物を貸す方(オーナー)からの考察

建物を貸す方(オーナー)としては、できるだけ長く貸して収益を確保したいと思うでしょう。特に、借主からの中途解約はできるだけ制限したいはずです。この点、居住用不動産であって200㎡未満の建物については、やむを得ない事情があれば法定解約ができてしまうため、「長く貸したい」ということを最優先に考えるのであれば、普通借家契約で借主からの中途解約権を留保しない契約が最も望ましいでしょう。ただし、そのような契約は借主側に抵抗がある場合が多いということや、経済事情の変動等により借賃が不相応になることも考えられます。貸主から借主への借賃増額請求のハードルは低くはないため、定期借家契約を用いて、新しい借主を探した方がよいケースも考えられますので、慎重に検討する必要があります。なお、事業用として貸す場合は、普通借家契約でも、定期借家契約でも、中途解約権を留保しない限り、借家人にやむを得ない事情があっても、契約期間内に一方的に中途解約されることはありません。

 

一方で、一定期間貸した後に、自ら使用したり、建物を取り壊しして更地として土地を売却したいという考えがあるケースでは、更新規定のない「定期借家契約」がおすすめです。これは簡単に言えば、「終わりが決まっている契約」です。定期借家契約ではない、通常の借家契約では、たとえ中途解約権を留保していたとしても、貸主から解約の申し入れをするには「正当事由」が必要であり、解約は容易ではありません。この点、定期借家契約は契約で定めた期間がこれば、契約は終了するため、資産活用に見通しがつきやすいというメリットがあります。

 

建物を借りる方からの考察

建物を借りる方としては、できるだけ長く借りたい、でも何かあった場合は解約したいというニーズがあるでしょう。前述の通り、できるだけ長く借りたいという想いだけであれば、「普通借家契約」がおすすめです。これは、契約期間を定めたとしても、終了時に再度契約を「更新」することができ、貸主が借主からの更新申し入れを拒絶するには、「正当の事由」が必要なため、原則的に半永久で借りられるためです。なお、借主側からの解約については、期間の定めがある場合は、特約(中途解約権の留保)がない限り、一方的に解約することはできません(※もちろん貸主との合意解約はできます)。

 

一方で、事業として借りようとする場合は、「定期借家契約」として借りることで、「普通借家契約」よりも安く借りられる場合があり、そのような場合はメリットと言えるでしょう。もちろん、事業が順調で、黒字経営を継続していても、定期借家契約で定めた期間が到来してしまえば、明け渡しをしなくてはいけません(貸主と再交渉し、新しい契約を終了と同時に発生させることは可能ですが、貸主が同意してくれる保証はありません。)。なお、中途解約権が特約により留保されていない場合は、たとえやむを得ない事情があっても、居住用かつ200㎡の場合とは異なり、中途解約はできません。そのため、使用していないのに賃料を払い続けることになりかねないため、注意が必要です。

 

注意!借主からの中途解約について違約金を設定することについて

普通借家契約も定期借家契約においても、特約により借主からの解約権を留保しつつも、その申し入れには「違約金」を設定するケースが少なからずあります。これら違約金条項については一部無効とした裁判例もあり、契約書に設ける場合は注意が必要です。

定期借家契約を締結するうえでの注意点は?

借家トラブルを防ぐには、しっかりとした説明と専門家の関与が大事!

借地借家法の改正により2000年以降にスタートした「定期借家制度」ですが、当時「10年

」「15年」などと期間を定めた定期借家契約において、近年に期間満了を迎え、トラブルとなり、相談が多くなってきたように感じます。あとから契約が無効となり、「普通借家契約でした」とならないように、以下の点を注意しましょう。

 

(1)契約書とは別個独立した書面にて、更新しない旨の説明を行い、必ず書面を借主へ交付する(可能であれば、受領印をもらう)。

(2)定期借家契約の締結には、できるだけ宅地建物取引業者などプロに仲介をしてもらう。

(3)契約期間が長い場合は、「公正証書」の活用も検討する。

 

なお、契約書作成については、弁護士や「行政書士」に相談することも可能です。行政書士法人エベレストでは、10年以上の定期借家契約においては「公正証書」での契約締結を推奨しており、そのご支援を承っております(法定交付書面を含め、行政書士報酬10万円+消費税+公証人手数料です)。費用は掛かりますが、後からトラブル解決に要する弁護士費用と比べればそれほど高くはならないのではないでしょうか。お気軽にご相談ください。大阪、名古屋、安城、神奈川など、幅広い地域にて対応が可能です。

 

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